【前回までのあらすじ】
耳管開放症により、車の運転ができなくなった、自転車には乗れる…という非常に分かりにくい症状のコルクさんは、友人が勧めてくれた、整体院を訪れてみた…。
治療室へ通され、服をぬぐように言われたコルクさん、ベッドで横になる。
タオルケットを掛けてくれる受付にいたお兄さん。
「少々お待ちください、先生がきますので」とカーテンをしめ、去っていく…。
4~5人は入れるだろうか…、隣との仕切りはカーテンのみ…、他の人が治療を受けているのだろう、それっぽい話し声がきこえてくる。
ベッドで横になり、室内の温度も丁度いい…、枕がやたらと低く感じたが、ウトウトしだすコルクさん…、夢見心地になってきた…。
そこそこの時間待っていたような気がする…、15分程だろうか…、夢と現実の世界を行ったり来たりしていると、しまっていたカーテンが静かに開いた。
「はっ」と気づくコルクさん、入ってきたのは60代後半から70代前半位にみえる、堂々とした風貌の男性だった。
「あ…、どうも初めまして…」と挨拶するコルクさんに、柔らかい表情でこくっと頷き、特に言葉は発しない先生…。
タオルケットをめくると、聴診器を身体にあてたり…、身体の状態を調べているのだろう…。
あまりに何も聞いてこない先生に、少しの不安を覚えたコルクさんは「あの…、私が何故ここへ来たか話してもいいですか…?」と聞いてみた。
特に表情を変えず、「うん」と頷いた先生に経緯を話すコルクさん。
「そうだね、君は腰も少しあるが…、首だね、すべての原因は」と、すべて分かってしまったかのように答える先生。
そう、コルクさんは首コリがひどいのだ!
この時点でも、首の痛みは確かにあった。
以前、慢性腰痛と診断された事があったが、現在腰の痛みはない。
「君は左向きで肩を枕に入れるように寝ているでしょう?まずそれを治そう」と言われる…。
図星である…。
これはまさにコルクさんが布団に入った時の姿勢である!
「君の首は普通の人と比べると3倍ほど悪い」「3倍ですか…😓」、「こんな首してると、めまいでも何でも起こしてしまう!
耳がよくないのもそれが原因だよ、目がかすんだり、すぐ疲れたりするだろう?考える事に集中できない時も多いはず…唇もよくカサカサになるでしょ?それと…」
先生の言ったことは、驚くほど当たっていた…。
つまり簡単に言うと、首から上(頭の方)の血流がうまく行き届いていない(そうとう悪くなっている)、それが原因で、首から上の、口、耳、目、頭などに色々な症状が出てくると!
今のコルクさんを、納得させるには十分な説明であった…。
針を打ってもらったり、身体を伸ばしたり曲げたり…、40分位だったろうか…、首を回すのは相当楽になった…。
今のコルクさんの首はすぐには治らないらしい…。
もうちょっと悪くなり、そこから治っていくと…、今もんだりすると、余計に硬くなってしまうらしい…。
「いつもマッサージ器でゴリゴリやってますけど…」
「今ゴリゴリやっちゃダメ」と忠告されるコルクさん…(汗)
今日はお風呂に入らず、油物を控えて…、など幾つかのアドバイスをもらい、「今は車の運転は難しいと思う…、どうしても、しなければならない時は、運転席側の窓を開けて風通しをよくすること」とも教えてくれた。
こういう時に、アドバイスをくれるのは嬉しいものである。
患者に好まれる治療者と、そうでない治療者の違いはここのなのかもしれない(改善していくのは大前提だが)…。
うんうんと頷きながら、聞き漏らすまいと、響く耳を傾けるコルクさん。
話を聞いていると、この先生は、がん治療から、ほぼ何でもするらしい…。
帰るころには、無口な印象だった先生が、よく話す先生に変わっていた…。
少しの間、通うように言われたコルクさんは、「どうもありがとうございました」「ではお大事に」と挨拶を交わし、フワフワした身体で、整体院を後にする。
えっと…、帰り道は…、こっちかな?
…「すみませ~ん!バス停どっちですか?…」と、郵便配達中の局員さんの手を止める、コルクさんであった。
時期としては、この整体院に行きだした顷、コルクさんはもう一つの挑戦をしていた。
車の運転についてだ。
自転車には乗れる、電車、バス、タクシーにも乗れる…。
自分が車を運転すると、独特の違和感に襲われて気分が悪くなってしまう…。
人が運転する車には何の支障もなく乗れる、自分では運転できない…。
どうにも納得がいかない…。
コルクさんは日々のめまい体操をしている…、車の運転に関しては、どうも改善が見られない…、正直あきらめようかと心が折れかかっていた頃である。
自律神経がやられているであろう、震える指先でネットを観ていると、ある言葉に目が止まる…。
『車酔い』という言葉である。
何と言っても運転すると気分が悪くなるのだ、この時コルクさんは、この状態を『車酔い』と捉えたのだ。
冷静に考えてみればおかしな話だが、この時のコルクさんは、『冷静さ』というものを、週に2回の燃えるゴミに出してしまっていたようだ。
思い込みとは恐ろしいものである…(厳密に言えば人は、ほぼ思い込みの世界を生きているのであって…、そのエネルギーがこの三次元世界、目に見えている世界を…、長くなりそうなので、この手の話はいずれまたの機会にしましょう)。
「車を運転すると酔ってしまう症候群」ではないだろうか⁈
勝手に病名をつけ、それに立ち向かうコルクさんは、車酔い対策なるものを検索する…。
そこそこの件数がでてくる…。
こういう時、人はまず手っ取り早いものから始めるものである…、コルクさんもまたしかり。
まず初めは、「お腹が空いている状態は車酔いしやすい」という一文(確かに聞いたことはある)…。
朝食を食べる習慣のないコルクさんだが、パンやおにぎりなど、ちょっとしたものを食べる事にしてみた。
次は「ガムを噛む」ということを勧めている一文…。
これはには正直迷ったコルクさん、何故ならコルクさんはガムを好まないのである…。
以前は、とてもガムが好きだったコルクさんなのだが、ガムを噛んでいると、歯に詰めてある銀のヤツがとれてしまった過去があるのだ!
その後は、コルクさんがどうも二の足を踏んでしまう『歯医者』という所へ、行かなければならないのである。
以前も、取れた銀のヤツを持って、望んでもいないのに、行きつけになってしまった歯医者へ行ったのだが…、削っている過程で痛くなったコルクさん…。
口を開けたまま(口の自由が奪われた状態で)、痛いと伝えようと「があっ、ううっ!」と発するが「はーい、もう少しですからねー、我慢して下さーい」と、年齢で言えば一回り以上も下であろう歯科衛生士さんに、たしなめられる事もあった…(汗)
コルクさんは半泣きだった…。
そう言えば歯医者とはやたらと多い…、一説にはコンビニより多いと聞いたことがあるが、本当だろうか…、地域によっては患者獲得のために大変だとか…。
それが本当ならば、●●歯科医と書いてある看板の横にでも『痛くない治療に全力で取り組んでいます!』と大きく書くだけで、患者は間違いなく増えるだろう、この一文はどんな宣伝よりも効果的だ。
コルクさんもそこへ行ってみるだろう。
患者側の視点に立った時、歯医者さんに望む事は2つしかない、治してもらう事(これは当然ながら)と、痛くない治療である…。
最新治療!と言うような表現もあるが、患者側からすると、専門的な事は正直よく分からない…。
患者が求めているのは前行の2つである。
話がそれてしまったが、ガムを噛むという所にやや難色は示したものの、今のコルクさんは藁をも竹をもつかみたい状態…。
車の運転につながるならば…と数年ぶりにガムを噛む事を決意するコルクさんは、その時以来、丁寧な歯磨きを心掛けるようになる。
この辺りからコルクさんは、車の運転と本腰を入れ向き合う、人生を掛けたトライアルを向かえるのであった…。
「よぉぉぉーしっ!」
【次回予告】
車の運転をはじめとする、身体状態の改善を、一刻も早く目指すコルクさん…。
ありとあらゆる方法で取り組んでいく、コルクさんの一日は、壮絶なモノとなって行く…。
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