
【前回までのあらすじ】
体調を崩してしまい、自律神経がやられたのか、止まらない頭からの汗…、手の震え、異常に響いて聞こえる耳…
車の運転ができないなどの、症状改善に、あの手この手で全力を尽くしていたが…、思う程の結果には繋がらずにいた…。
その日の夕方、友人(A君)から連絡があった。
1年ぶりか…、それ以上になるか…、随分と久し振りだった。
現在のコルクさんの状況を話すと、さすがに驚いたようで、様子を見に来てくれるという。
何か欲しいものはあるか?と聞かれ「晩飯!」と答えるコルクさん、あまり食欲はあるとは言えないが、何か食べておこう位に思ったのだ。
2時間程してやってきたA君は、コルクさんと同じ年の男性である。
A「はい、から揚げ弁当!コンビニで買ってきた」
コ「から揚げ…(随分ガッツリ系だな…)、ああ、ありがと」
A「いったい何がどーなったんだよ?大丈夫なのか?」
心配して聞いてくるA君に、経緯を話すコルクさん。
A「じゃあその、耳管開放症ってやつのせいで、運転できなかったりとか、他の症状が出てるってことか…、それだけなのかな?」
ドキッとしたコルクさん「そう…、正直…、俺もそれだけかな…?って思ってんだよ、ちゃんと漢方は飲んでるけど…」
A「へっ、バチがあたったんだよ!バチがあ!」
コ「バチ?俺、何か悪い事でもしたか?」
A「今までの罰だよ!好き勝手に生きて来て、結婚もしないで、遊びまわって!気づいたら40じゃねーか!」
この辺りから、二人の声のトーンが上がりだす!
コ「やけに突っかかるじゃねーか!確かにそうだ!認めるよ!ただ、罰を受けるいわれはないね!…、そもそも、お前も全く一緒じゃねーかよ!好き勝手やってきて、未だ独身で!」
A「いーや!お前の方が悪い!バチだバチ!ざまーみろ!」
コ「いーや!お前のその偏った見方がおかしいっ!俺はちゃんと会社勤めをして、税金も納めてる(今年から介護保険も)、よく働き、よく遊び、よく寝る!この日本を支える、中年のあるべき姿といえよう!文句あるかっ!」
A「文句しかないね!生意気な事いってると、唐揚げ弁当持って帰るぞっ!」
こ「置いていけっ!…、いーか、そもそもバチなんてものは存在しないの!こーしたら、こーなる!だけの事なら、原因と結果って話で収まるんだよ!ただの出来事に、いーも悪いもあるかあああ!」
A「……、お前…、随分元気じゃないか?」
コ「…、そうなんだよ、人間の身体って面白くできてるよ、時々『イラっ!(怒)』とくるだろ?その瞬間は身体が治ってんだよ…、ただ、その後の疲労感は半端じゃないぞ…、ダメだ…クラクラしてきた…(T_T)」
A「お、おい……(汗)」
目クソと鼻クソの戦いには、どちらにも軍配が上がらないのであった…。
無駄に疲れた、疲労感満載の二人…。
コルクさんがA君の話を突き詰めて聞くと、つい先日同級生にあったのだとか…。
家族三人で歩いていた、その同級生の娘が中学生になったと、そんな話をA君にしていたらしい…、それにショックを受けたA君は「それに比べて自分は…」と、気持ちが滅入ってしまい、どーにも落ち着かなくなったようだ。
コ「やめろっ!そこは俺たちにとって、開けてはならないパンドラの箱だ!箱の中に潜むはコンプレックスという、超ぉ~難敵だ!下手をするとやられるっ!この箱を開けてしまったが最後、戻ってこられない所まで、行ってしまいそーだ(涙)…、ん、待てよ…、だからお前は、状況が似てる俺に会いに来たんだな!」
A「そう!一人で耐えられるほど、俺は強くないっ!はっはっはー(^^)/」
コ「威張って言うなよ、なんて奴だ…」
A「唐揚げ弁当食べたら?」
コ「食べるっ」
と、コンビニ弁当を不用意に開けてしまったコルクさん…。
「あ”あ”っ!」と、とっさに耳をふさぐ。
A「ど、どうしたっ??」
コンビニ弁当を開ける時の音が、コルクさんの鼓膜を打ち破りそうになったのだ…。
A「大変そうだな…、ひどくなってんなら、病院行っといたら?再診日まで待たなくても…」
コ「そうする…もう我慢できないわ…、明日行ってくる…(T_T)」
A「なるべくプラスティックの音たてるなよ…」
コ「うん…、漢方とって、食前だから…、そこのピンクのヤツ…」
2時間程滞在しただろうか、「必要な時は言ってくれ、いつでも足になるからな」と言い残し、A君は帰っていった…。
住家で一人、ポツンとなるコルクさん…。
パンドラの箱を…開けられてしまったコルクさん…病んでる時だから尚更ひびく…。
もう…寝よう…。
人は、自分の中を見るのが怖いものである….。
見たくないものは、無意識のうちにでも心の奥底へ沈めてしまう…、人に見せられようとすると、思考や言葉をフル回転させ、見ないように頑張るのもまたしかり…。
『人生を、嘆き悲しみ、コルク寝る』…五・七・五
翌日、9:30を回ったころタクシーを呼んだコルクさん。
向かった先は勿論病院である。
タクシーに乗り行き先の病院を告げると、運転手さんも3年前に病気したという話をしてくる…。
何故か楽しそうに…(汗)
「そんな事がありましてね、それ以来行きつけが大学病院なんですよ!月2回大学病院ですよ!笑っちゃうでしょう?こういう場合風邪ひいても大学病院行かなきゃいけないのかって!薬も毎日12錠も飲んでますよ!はーはっはっは」
何が楽しいのやら…、、陽気な運転手さんである…。
などと思っていると、ふと気が付いたコルクさん。
体調を崩してからというもの、車を運転できないがために、やたらとタクシーに乗る機会が増えたのだが、イヤな印象を与えるような、態度の悪く思える運転手さんが全くと言っていいほどいないのだ。
一昔前は、横柄な態度をとるような人も珍しくはなかった…、色んな人がいたように思う…。
20年程前になるが、時間が無く急いでタクシーを捕まえ乗り込んだコルクさん。
「○○って建物まで!場所はよく分からないんですけど、○○町にあるんです!」
と伝えると、運転手は気だるそうに「はいコレ…」と地図を渡してきたのだ‼。
その瞬間、コルク火山の大噴火がおこった…、要らぬ時間(かなりの時間)を喰ってしまい、火山灰だらけで、かすれ声のコルクさんは大遅刻をしてしまった事があった…。
これも10数年前になるが、ザ・モッズ(ロックバンド)のライブを見に行った帰り道、タクシーに乗り込むルンルン気分のコルクさん。
運転手さんは中年までいかない位の、体格のいい若い人だった。
「おっ!お客さんいい革ジャン着てますね!」
この運転手さんもロック的な音楽が好きらしく、車内は大いに盛り上がる!
そんな時…、キキーっっ‼と急ブレーキ!助手席のシートに前のめりになるコルクさん…‼
一旦停止を無視した車が飛び出してきたのだ!
交通ルールでは明らかに向こうに比がある…。
しかも聞こえなかったが、ご丁寧に窓まで開けて、こちらに何かを言って去って行く…。
即座に、後部座席にいたコルクさんの方へ振り返った運転手さん!
「お客さん!追いかけますかっ‼(怒)」
「…いえ…結構です…(汗)」
そこは「お客さん!大丈夫ですか?」だと思うけど…。
とまあ、以前タクシーに乗っていた時の出来事を話すコルクさん。
「まぁ以前は殿様稼業って感じの運転手も多かったんですよ、今もほんの一部はいますけどね」と話し出す運転手さん。
「今の時代は気にくわない事があると、直ぐに会社へ苦情が来ますからねぇ、ご丁寧にナンバーまで控えてますよ…。
睨んだとか割り込んだとか…、クランクションなんか鳴らせませんよ、明らかに危ない時でも、文句言わないようにしてますよ」
「へぇ~、それじゃあストレスたまりますねぇ」
「でも大丈夫ですよ、コツがあるんです!腹立ったら絶対相手を見ない事なんです!目を合わせずに『このボ○ーっ!』って言うんですよ!相手は聞こえませんから。
目が合ってしまってる時は、表情は笑顔で文句言ってます!昔の竹中直人みたいに(笑)、こういう技術を持ってると大丈夫ですよ」
なるほど…と感心するコルクさん。
近年のタクシー運転手さんたちの苦労や努力の大変さが分かってきた頃…、病院についた。
3000円程払いタクシーを降りるコルクさん、向かう先は耳鼻咽喉科である。
病院に入ると10:00頃という時間もあったためか、わりかし空いている。
歩行状態は以前来た時ほどのフラつきは無く、ハンドタオルで汗を拭ったコルクさんは、受付を済ませて2階の耳鼻咽喉科へ向かう。
2階の耳鼻咽喉科へ到着、前の長椅子にはほとんど人がいない…。
これはスグに入れそうだ、とトイレに行くのを我慢する…。
待つ事、ほんの5分程でコルクさんが呼ばれた。
【次回予告】
耳鼻咽喉科で再診を受けるが、全く収穫が得られず困惑だけが残るコルクさん…。
その先には…、今までにない、強烈なことが待っていた…、ついに動けなくなる…。
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