【前回までのあらすじ】
耳管開放症という病気によって、車の運転ができない、クラクラしてまともに歩けなかったコルクさんが、自転車にならスムーズに乗れる事が分かり、自転車を買うことにしたのだった。
自転車屋と言うもの自体が見つからず、悪戦苦闘の末、ようやく見つけたのであった…。
「自転車が欲しいんですけど…」と伝えるコルクさん。
「えっ?うちの?」と少し驚いた様子のお兄さん。
「じゃあどこのだよ!」と言ってしまいそうになるコルクさん。
「今…うちにあるのはこれだけで…、値段もちょっと…」と口調がモゴモゴしているお兄さん。
ホームセンターや、大型スーパーの方が安いのは誰もが知っている事実。
だが、そこまで行けない事情を抱えたコルクさんには、ここで選ぶ以外選択の余地は無いのである…。
丁寧に、展示してある自転車を説明してくれるお兄さん。
「このマウンテンバイクが6万8千円で…」
「却下っっ!安いのでいいの!安いので、カゴがないじゃない、カゴが!買い物行ったりするんだから」とおばちゃんのような条件を出すコルクさん。
「じゃあこの辺ですね!今ここで安いのがこれと…これかな、ゾクに言うママチャリです!実用性を考えた場合やはりママチャリですね!このライトなんか暗くなったらつきますよ!」
「えっ?ライトが自然につくの?昔みたいに足で、『ガンっ!』てやらなくていいの?すげぇ~、車でいうオートじゃない!オート!」と、自転車から20年以上離れていたコルクさんは驚きをかくせない。
「そう!足でガンってやらないオートなんですよ!」
「へええー」
何故か盛り上がる二人の中年…。
いつでも持って来れば、空気入れ等々のメンテナンスは無料でしてくれるという心優しいお兄さん。
「じゃあ2万4千円です」
「に…、2万よ…ん…(汗)」2万5千円を出し、お釣りの千円札をしっかり握りしめるコルクさんであった…。
この後、このママチャリはコルクさんが車に乗れない約3週間程の間、大活躍するのであった!
2か月後にはショッピングセンターで、同じ自転車に1万8千の値札が掛かっている所を発見したコルクさんは、そっと値札を裏返すのであった…。
翌日、翌々日と体調が良くなる気配は感じられず、めまいという症状は治まっているもの、車の運転は相変わらずできず、頭からの汗も止まらない。
毎日9:30~10:00、今日こそは!
と思い運転するのだが…酔ってしまい気持ち悪くなるのだ…。
耳の調子も悪化している?感じがする…。
周りの音の響きが大きくなってきているのだ…。
それはこの頃のコルクさんにとって、大きなストレスの要因になっていた…。
有難い事に友人が夕食を買ってきてくれる…。
それをビニール袋から出すときの音、ペットボトルの持った時に鳴るパチパチという音…。
などなど、とにかく耳を覆いたくなるほどである。
楽しい食事も終わり、友人が帰る。
寝ようと電気を消す。
スイッチのパチンという音がキツイため、紐を引っ張り消してみるが、その音すら響くのだ…。
耳が聞こえにくい人で、生活のあちらこちらで不便性を感じる、と言っていた人がいたが、聞こえすぎるのもまたしかり…。
漢方を飲み始めて、まだ3、4日程しかたっていない。
漢方は聞き始めるまで時間がかかるという話もよく聞く…、まだまだ時間がかかるのか…。
翌日は運転する気になれなかったコルクさん、日中はめまい体操やストレッチなんかをやってみたり、ダラダラと過ごす。
夕方は少しの散歩へ出る。
久し振りに外食をしたくなったコルクさんは、友人に連絡してみる事に。
1時間後に友人は来てくれた。
友人の使い慣れた車に乗せてもらい、ファミレスへ行った。
それなりの客が入っていて、ややにぎわったファミレスで、やや食欲の出てきていたコルクさんはpizzaを食べた。
お皿とフォークが当たる音などが異常に響く中、スターウォーズの話になった。
自慢じゃないがコルクさんはスターウォーズを観たことがない。
以前にもスターウォーズを観たことがない、と言って「コルクさんは人生損してる!」と言われた過去がある。
どうせ部屋に閉じこもっていても暇だろうと、スターウォーズのDVD6作、とその他もろもろ何らかのDVDを貸してくれることになった。
数日後に借りたDVD…、紙袋2つ分の量に驚くコルクさんであった…。
テレビ1台しかないのですが(*_*)
ファミレスからの帰り道、友人より整体へ行ってみてはどうか、と提案される。
コルクさんは肩こりや首コリで、時々鍼灸整骨院へは行っていたが、整体というのは経験がない(似ているような気はするが)。
友人が言うには、中国(?)などでも修行をした有名な先生で、針を使ったりもするらしい…。
ますます鍼灸院との違いが分からなくなってしまったコルクさんだが、なんと言っても時間だけはある…。
今回、合計3つの病院へ行った事になるが、東洋医学の視点からみてもらうのも面白いかもしれない。
西洋医学は、元々は応急処置が基本にあり、症状を鎮める事にたけている。
東洋医学は体を、元の状態に戻すというのが基本にある、と聞いたことがある(あくまで聞いた話です)。
整体院の住所や電話番号を教えてもらい、友人の車を見送る。
明日にでも行ってみようと意気込むコルクさんを、月夜は優しく見守るのであった…。
翌日、心強いパートナーである自転車に乗り、最寄り駅へ向かったコルクさん。
電車に乗り、二つ目の金沢駅で降りる。
大きな駅のため、なかなかの人混みである。
次の瞬間!「のおおおおーっ!★●*¥(@_@)」…。
クラクラしたコルクさんは、駅のベンチに座り込む…、人混みというのも今のコルクさんには響くようだ…「うう…」。
10分程で落ち着いてきたコルクさんは、そそくさと駅を出てタクシーに乗り込む。
行き先を伝えると「ああ、川沿いの」と、運転手さんは知っているようだった。
1300円程で着いた。
やや年期の入った建物に看板がかかっていた…。
この整体院は予約制度がないため、来た者順らしいのだ。
中に入ると、年配の女性が2人長椅子に座って待っている…、状況から見るに、コルクさんは3番目のようだ。
受付にいたお兄さんに初めて来たことを伝え、名前、住所や電話番号を書く…、案外それだけであっさり終わる、保険証も必要ないらしい…。
初めて来る場所に落ち着かず、そわそわしながら長椅子に座るコルクさん、ハンドタオルで汗を拭う…。
そんなコルクさんを見ていた年配の女性が、立ち上がり「暑かったらクーラーつけるといいよ」と、目の前にあったクーラーのスイッチを押してくれた(どうやら患者がスイッチを入れたり消したりするシステムらしい)。
「あっ、どうもありがとうございます」とお礼を言って、隣で映っていたテレビに目をやるコルクさん…。
「ありがとうございました~」と治療室から30代位の女性が出てきた…。
しばらくして待っていた女性の一人が呼ばれて中に入る…。
30分程待ったろうか、治療室から出てきたのは、歩く事も大変そうな腰の曲がったお婆さんだった…。
思わず立ち上がって、手を貸したくなる衝動にかられるほどだ…。
お婆さんがゆっくり、ゆっくりとドアから出て行く姿を見届けたころ、待っていたもう一人の女性が呼ばれた。
先ほどクーラーをつけてくれた親切な女性が、こちらに軽く会釈をして治療室に入っていく…、会釈を返し、その女性が治療室に入ったのを確認すると、すぐさま立ち上がったコルクさんの手はクーラーのスイッチを切る!
この時、コルクさんの身体は完全に冷え切っていたのだ”(-“”-)”
何と言っても目の前にあるのだ!
クーラーが!
約30分直撃していたのだ(+o+)「っ、寒っ!」
親切でつけてくれたクーラーを、本人の目の前で切る事が出来なかった…。
自分の気の小ささを、嘆き悲しんでいた頃…、治療室からまた一人出てきた。
いよいよコルクさんの番である。
【次回予告】
病院(西洋医学)では、耳管開放症という診断された、コルクさんの身体の状態を、整体の先生(東洋医学)はどう観るのか…。
コメントはこちら